昭和18年に公開された『姿三四郎』は、昭和19年のリバイバルの際に短縮され、そのカットされた部分は失われていました。これが現在見ることができる『姿三四郎』です。カットの経緯や、カットされた部分の説明などがテロップによって説明されています。これまでビデオ、LD化されていたのはもちろんこのバージョンです。

 今回のDVDには『姿三四郎』本編にくわえて
『姿三四郎』最長版を収録しています。ご存知の方も多いと思いますが、東京国立近代美術館フィルムセンターの尽力で、ロシアでカットされた部分を含んだ『姿三四郎』の上映プリントが発見されました。残念ながらカット部分の全部が発見されていないため「全長版」ならぬ、「最長版」という名称になっています。収録時間は『姿三四郎』79分、『姿三四郎』最長版91分です。

 月形龍之介演じる檜垣源之助のエピーソドが増え、クライマックスの対決に向かってのストーリーのうねりが、これまで以上にダイナミックなものになっていると感じました。映画の感想は100人の観客がいれば100通りあるわけですから、ここでいろいろ書いてしまうより、実際にDVDをご覧になっていただくのがいちばんでしょう。

 カット部分も映像、音声のデジタル補修を行いました。しかし、フィルムの状態が著しく違うため、少々お見苦しい、お聞き苦しい部分があることをご了解ください。また、本編同様日本語字幕が表示できます。特に、カット部分はサウンドトラックの状態が良くなく、台詞が聞き取れない箇所もありますので、字幕で確認いただけるかと思います。

 さらに『姿三四郎』最長版には黒澤プロダクションの野上照代氏と東京国立近代美術館フィルムセンターの佐伯知紀氏の
音声解説を収録しています。黒澤明監督が野上氏に語っていたという、撮影当時のエピソードや、佐伯氏がロシアに赴きカット部分を発見するまでのいきさつなど、興味深い話を聞かせてくれます。