 |
黒澤明監督作品のDVD化にあたっては、現時点で望みうる最良のパッケージにしようと、スタッフ一同作業を続けております。今回はこのDVDシリーズのみで楽しめる4つのポイントをご紹介します。
まずは、東宝スコープ作品の基本音声である、パースペクタ・ステレオフォニック・サウンドの再現。これは『隠し砦の三悪人』 『悪い奴ほどよく眠る』 『用心棒』 『椿三十郎』に採用された、3チャンネルの立体音響です。モノラルの原音にミックスしたコントロール信号をデコーダーで取り出し、左・中央・右の3つのチャンネルのボリュームをコントロールする方式なので、厳密にいうと擬似立体音響ということになるのですが、DVDではモノラルとの聞き比べも可能です。劇場公開当時のサウンド・デザインをお楽しみください。
第二に、新たに特報が発見されました。『七人の侍』(残念ながら音声が失われていて、映像のみの収録になります)『用心棒』『椿三十郎』などです。
|
そして『姿三四郎』の最長版。昭和17年に公開された『姿三四郎』は、昭和19年のリバイバルの際に短縮され、そのカットされた部分は失われていました。ところが東京国立近代美術館フィルムセンターの尽力で、ロシアでカットされた部分を含んだ『姿三四郎』の上映プリントが発見されました。『姿三四郎』のDVDには映像特典として、カット部分を復元した『姿三四郎』最長版を収録します。残念ながらカット部分の全部が発見されていないため「全長版」ならぬ、「最長版」という名称になっています。『姿三四郎』本編と見比べてお楽しみください。また『姿三四郎』最長版には黒澤プロダクションの野上照代氏と東京国立近代美術館フィルムセンターの佐伯知紀氏の音声解説を収録しています。カット部分を発見するまでのエピソードや、初公開版にはこういうシーンがあったなど、貴重な御話を聞かせてくれます。
|
4つめのポイントは各巻に収録される映像特典です。『黒澤明〜創ると云 う事は素晴らしい』というタイトルで、黒澤明監督の創造の現場を追体験できるようなメイキング編です。『姿三四郎』からまで、それぞれの作品にゆかりの出演者とスタッフのインタビュー、生前の黒澤明監督のインタビューや貴重な資料映像で構成されています。つまり、23バージョンの『黒澤明〜創ると云う事は素晴らしい』を製作中です。
取材、構成は『影武者』以来、黒澤組の演技陣の要となった油井昌由樹氏(右写真)。作品によって長さが違いますが、20分ほどの映像特典になります。
映像、音声の補整や、豪華なブックレットなど、黒澤明監督作品DVDはこだわった仕様でのリリースとなります。これからもこのコーナーで紹介してゆきますので、お楽しみに。 |